お客さんのいう「お洒落な感じで!」を正しく理解するために僕がやっていること

お客様からご依頼をいただいてデザインをする時に

常に気をつけていることがあります。それは、お客様の頭の中にあるイメージを正しく引き出して、お互いに認識に間違いがないか確認すると言うものです。

デザイナー一年目のときはここの確認作業が上手く出来ずに、お客様に迷惑をかけてしまう事が少なくありませんでした。経験を積むにつれて、ノウハウ的なものが出来てきたので、今回は僕はこんな風にやっていますというところをお伝えしたいと思います。

デザインの世界で言葉は時にあやふやなもの

言葉というのは自分の気持ちや考えを伝えられる便利なツールです。でも、一つの言葉に複数の意味が込められる場合があるため時に、こちらの意図しない伝わり方をしてしまう場合があります。

特にデザインの世界ではお客様が言った言葉を間違って解釈してしまう場合が往々にあります。例えばお客さんにウェブサイトのデザインを依頼されて、こう言われたらどうでしょう?

「なんとなくお洒落でパキッとした感じにして欲しい」

これを聞いた上であなたの頭の中にどんなデザインのイメージが湧いてきたでしょうか。「お洒落」というキーワードだけを拾うと次のようなサイトのデザインが連想されるかと思います。

RIZAP

無印良品

Apple

SABON

どのサイトも見ていただくと分かりますが、とてもお洒落な作りのデザインになっています。ただどれも、お洒落に違いはないのですが「お洒落の方向性」が違う事が分かると思います。

自分は「無印のお洒落」をイメージしてデザインしていたのに、お客さんのイメージしていたお洒落は「SABONのお洒落」で、デザインが出来上がった後になって「イメージと違う」と言われてしまうこともあるでしょう。

「お洒落」というキーワード一つをとっても、ここまで齟齬が出てしまうのです。だからこそ事前のイメージ共有が非常に大切だと僕は思います。

「言葉」と「イメージ」をセットに

僕はお客さんにデザインのイメージを確認する時には必ず「言葉」「イメージ(画像)」をセットにして聞くようにしています。

「控えめな装飾で落ち着いた感じのボタンとは、このようなイメージ(画像リンク)に近いでしょうか?」と言った感じです。

言葉だけでは伝わりづらいニュアンスを含む場合には、受け手が様々な解釈をしてしまうため曖昧さを排除するために、こちらが理解した内容に近いものを既存のウェブサイトやバナーから見つけて参考画像として共有するようにしています。

このようにする事で互いにビジュアル化されたものを見て確認出来るので「なんかイメージと違う」といったトラブルが発生しづらくなり、スムーズにデザイン作業を進められるようになります。

Pinterestを活用しよう

参考となるデザインイメージを探すのに便利なサービスにPinterestというものがあります。

ウェブサイトはもちろんバナー、パンフレット、はたまた洋服や家具などのお洒落でイケてるものをカタログのように見る事ができます。

「美容室 ウェブサイト」と検索してみると次のように様々なサイトが表示されるので、そこからお客さんが言っていたイメージに近いものをピックアップして確認してもらう事ができます。

pinterestで「美容室 ウェブサイト」を検索した場合

Pinterestにはウェブサイト以外にもロゴや名刺などのデザインもたくさんストックされているため、僕もウェブサイトに限らず様々な場面で活用しています。

イメージ共有にはdroplrが便利

チャットやメールで参考画像を送る際に、いちいち画像をダウンロードして添付して送るのって面倒ですよね。お客さんもダウンロードして画像を確認するには不便ですし、複数の添付画像があるとどれの事を言っているのか分かりにくかったりします。

そこで、僕はdroplrというサービスを使うようにしています。使い方は非常に簡単でアプリを起動するとカーソルが表示されるので、シェアしたい部分を囲うだけです。囲った箇所のスクリーンショットが自動的にクラウド上にアップされて、専用のリンクが生成されるので後はリンクを貼り付けるだけで完了です。

ツールバーからスクリーンショットを選択する

キャプション付きで簡単に共有できる

下のようにテキストと確認リンクが一緒に表示出来るので、お客さんの方でも確認しやすくなります。

ロゴの配置イメージですが下のようなイメージでよろしいでしょうか?

(参考画像)

https://d.pr/SIz92H

droplrはその他にも画像にテキストや図形などを追加したり、動画も簡単に共有出来るため動きのあるデザインを確認してもらう時にも便利に使えます。

デザインのお仕事をしていて気が付いた事があります。それは、デザインに取り掛かる前の段階、準備の段階でデザインの良し悪しが決まるという事です。お客さんとのヒアリングを十分にとって、互いの認識に間違いがないかを確認した上で進める事が失敗の少ないデザインになっていくのではないかと思います。手元に参考画像や素材がたくさんある状態でデザインに取り掛かることで、スムーズにデザインが出来るようになるはずです。